PDCAサイクルとOODAループとサッカー
PDCA?OODA?
いつの間にか時代遅れに…
最近までPDCAサイクルを信じていた。
ところが、ネットで検索して出てくるPDCAサイクルに関連する記事は、どれもPDCAサイクルに否定的なものばかり。「時代遅れ」「古い」「諸悪の根源」「信じているのは日本人だけ」など色んな否定的なワードが出てくる(赤面)。
また、PDCAサイクルを否定するのと同時に出てくるキーワードが、OODA(ウーダ)ループ。PDCAサイクルに変わる、新しい考え方だとか。
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返し、継続的に業務改善ができる手法。しかし今では、前例主義なうえに、過剰分析、過剰品質に陥り、スピードが致命的に遅い、などと言われているようだ。
これに対して、OODA(ウーダ)ループは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)を何度も素早く繰り返す(ループする)ことらしい。
少し調べてみたが、イマイチ理解できない。そんな時に、普段から考えていた「(僕の)仕事は、野球というよりはサッカーだなぁ」ということを思い出した。
仕事はサッカー
サッカーでは、監督がフォーメーションや戦術を決める。監督は練習を通して戦術を選手に叩き込む。試合中もテクニカルエリアから大声で指示を出す。
しかし、現実の試合においては、選手が考えた選手自身の判断が重要になる。
戦術で、基本の動きは示されているが、実際ボールを持った時に、パスを出すか、ドリブルをするか、シュートをするか、それは選手自身の思考が重要。例えば、戦術として「サイド攻撃」があったとしても、中央が空いていたら、中央をドリブル突破した方がゴールを決めるチャンスが増えるし、シュートコースがあるならシュートを打つのもいいだろう。
監督の示した戦術と違う動きをした場合、失敗すれば怒られるだろうが、成功してしまえば文句は言われないだろう。戦術を踏まえた上で、ピッチ上でどんな動きをするのかは、個々人のセンスが問われる。
フォーメーションの話で言うと、例えば右ウィングの選手が左に流れてプレーすれば、左ウィングの選手が右に回る。センターバックがドリブルで上がれば、ボランチがディフェンスに下がる。基本フォーメーションが決まっていても、ポジションチェンジは臨機応変に対応するべきだ。これは、マニュアルとして決まっているかも知れないが、やはり個々人の思考・判断・センスが重要になってくる。
これが野球になると、一打席ごとにベンチから細かい指示が出るので、やはり仕事のやり方としては、野球よりサッカーの方が参考になるなと思っていた。
仕事におけるサッカー的な動きを想像してみると…
例えば、お花見シーズンに桜祭りの会場で花見弁当を売るという仕事を上司から任せられたとする。
上司からは、昨年の実績を踏まえて500個仕入れて完売させるように指示を受けたとする。
当然、上司の指示通りに動くわけだが、前日の夜になって、天気予報が急変し、本番の日に雨が降るかもしれないと分かる。雨だと弁当は売れないので仕入れを減らさないといけない。この場合、上司に判断を仰ぐというのが組織上の筋ではあるが、判断には急を要するし、このような当然の判断は、担当者で行って事後報告でよい。
仕入数を半分に減らす判断をして当日を迎えたが、朝の早い時間に雨が上がって、予想よりも弁当が売れそうになる。その場合は、できる限りの追加発注を行い販売数を伸ばす。
最終的に、祭りが終わるまでに350個を売り上げて、売れ残りは出さずに済んだ。単純に計画どおりに動いていたら、150個の売れ残りを出していたところだ。
担当者の判断が裏目に出れば、上司に怒られるリスクはあるが、リスク覚悟でチャレンジする癖をつけないと成長はない。チャレンジする時としない時のバランス感覚は大事だが、それもセンス。
フォーメーションの話でいうと、1人がレジで1人が呼び込みの配置だったとする。お客さんが少なければ、2人で呼び込みをするし、お客さんが多くなれば、2人でレジをする。業務として基本配置があったとしても、状況に応じて臨機応変に対応するべきだ。
つまり、このような仕事はサッカー選手のように動きの自由度は高いが、その分、自己の観察力・判断力が試される。
OODA(ウーダ)ループ
OODA(ウーダ)ループとは、このようなサッカー的なアプローチに近いのではないかと想像した。
サッカーでも、状況を見て、情報を集めて、先のプレーを想像して、決めて、実行する。そして、それをとんでもないスピードで繰り返す。優秀な選手ほど、このスピードは早く、早いほど成功率は上がる。
例えば、サッカーに対して、悪意を持ってPDCAサイクルを当てはめて考えると、まず戦術をしっかり決める(計画)。戦術を決めたら、実際に試合が始まって、例え戦術が上手くハマっていなくても、最後まで戦術通りに試合をする(実行)。試合が終わったら、戦術がうまく行ったかどうか検証する(評価)。うまく行かない部分があれば、次の試合に向けて戦術を練り直す(改善)。
机上では、一見論理的なように思えるが、これは確かに遅い。試合に勝てていればまだいいが、負けが込んでいる状態でこんなことをやっていては、判断が遅すぎる。試合途中で、戦術がハマってないと分かれば、早いうちに修正した方がいい。リーグ戦ならともかく、負けたら終わりのトーナメント戦では、このやり方はまずいと思える。何せ相手がある事だから、相手の出方次第で、こちらの対応も変わってくるのが自然なことだ。仕事においては、負けたら終わりという厳しい状況はよくある。
計画通りに実行すると言っても、現実問題、多少の修正は必ず行なっているはずで、それを今までは場当たり的でダメだとか、計画が甘いだとか言われたが、それにキチンとした理論が与えられたように感じる。
弁当販売にPDCAサイクルを当てはめて、悪いように考えると、Check(評価)の段階で、雨天時を考慮してない計画にダメ出しされそう。そうなると、必要以上の計画書が要求され、過剰分析、過剰品質に陥ってしまいそうだ。
まとめ
計画はベースとしてやはり必要だと思うが、ビジョンや目的を示す事が一番大事で、細かい内容は、頭を柔くして可能な限り臨機応変に対応する方がいいのだろう。計画だけ必要以上に完成度を高めても、実行において現実味がないと絵に描いた餅になる。完成度にも丁度いい塩梅を見極めるバランス感覚が必要だ。しかし、実行したことの検証や記録はアーカイブとして残した方がいい気がする。センスは、経験に裏付けされる。